
オランダのデザイナー、クリス・カベル氏は、長さ10メートルの横材を使用して円形のベンチを制作した。

カベル氏は長い横材を台形に刻み、木目が引き立つよう円形に組み合わせた。

台形に刻まれた木材は、金属の帯で接合されている。

このベンチはShared Space lllと呼ばれるインスタレーションとして、ロッテルダムの現代美術館(Witte de With Center for Contemporary Art) とTent内の公共スペースに設置されている。

デザイナーからの詳細は以下の通りである。
このベンチの魅力は何ですか。
このベンチの魅力は何といっても3人以上座れば、皆がすぐに打ち解けて一つの世界を共有できることです。、まるで木に抱かれているような気分になれるのです。
当初のコンセプトと完成品との違いは何ですか。
Shared Space lllのために私が制作したかったのは、円形のベンチでした。私がこの形にこだわった理由は、まったく異なる二つの空間を同時に作り出せるからなのです。外側を向いて座れば、人は名も無い個人にすぎません。本を読んだり通行人を眺めて過ごすかもしれません。しかし、内側を向いて座った瞬間、人はすでに座っている人と世界を共有することになります。裸でなく汗もかかないという点を除けば、一緒にサウナ風呂に浸かっているような雰囲気なのです。子供の頃月曜日になると学校で小さな木の椅子を輪に並べて、週末の出来事に花を咲かせた雰囲気にどことなく似ていませんか。

では、どうすれば可能なのでしょうか。勿論、最初に頭に浮かんだのは木材ですが、私はそれを使って途方もないことを実行しようと考えました。通常、直線の素材を使って円形のベンチを作るには、素材を切断し、接着剤やネジで固定して円形を作ります。しかし、この方法を使うと、木の特質である木目の流れを破損することになります。そこで思い付いたのは、木材をパイの大きさほどの小さな台形に刻む方法で、それらを接合すると直径3メートルの円形が出来上がります。このベンチは台形に刻んだ木材100個を(木の浴槽や樽のように)金属製の帯で接合してできています。壁のアーチに組み込まれた石材と同じ発想です。このベンチが優れているもう一点は、簡単に分解し、荷台に乗せて移動できることです。

デザインや組み立てを行う上で困難だったことは何ですか。
この大きさの木材を見つけることは至難の業でした。このデザインを実現するためには、長さ10メートルの横材が必要だからです。さらに、切断する際に割れ目や破損が生じないよう、木材を十分に乾燥させなくてはなりません。木材は湿気が残っている段階で切断しそれが乾燥し始めると、内側よりも外側が速く乾燥し縮むため、割れ目が生じます。幸運にも、私はこのデザインに相応しい素材と、熱狂的な科学者のように機械や技術の考案に打ち込む熟練した木工職人に出会いました。彼は前例のないプロジェクトを手掛ける専門家で、私は彼が中国人デザイナーのAi Wei Wei氏を始め、Ettore Sottsas氏やRon Arad氏の仕事に携わってきたという経歴を見て、このプロジェクトを実現できるのは彼しかいないと確信しました。

このデザイン構築にまつわる秘話はありますか。
当初、私は自分の作業場で、金属のフレームに取り付けた長さ10メートルの薄い板をウオータージェットで切断し、木片を接合してベンチを制作しようと考えていました。この作業に取り掛かって程なく、完成した巨大なベンチをどのようにして運ぶかという問題に気づいたのです。作業場のドアの大きさから、完成品を外に運び出すことが不可能であることは一目瞭然でした。この初歩的な見込み違いをきっかけに、より厚みや幅のある横材を切断して金属製の帯で接合したベンチを作る方法が、より道理にかなっていると気づいたのです。結局、私の仕事場(かつて帽子の製造工場で、大きなドアを必要としなかった)のドアを大きめに設計しなかった建築家に感謝することで、一件落着したのです。

このプロジェクトを見て何を感じ取って欲しいですか。
人々が丸い木のベンチに座って、お互いの世界を共有してくれることを切に願います。
プロジェクトに関して
どのような素材と技法を用いたのですか。
ダグラスモミ(長さ10m/幅40cm/厚さ30cm)に僅かな幾何学模様と切り込みを多く入れ、つや消し用の透明のニスで仕上げました。

素材はどこで入手したのですか。
木材はカナダ産で、一年間木酸を抜くために川の水に浸し、二年の歳月をかけてオランダで乾燥させました。
設置期間はどれくらいですか。
一年もしくはそれ以上です。
半年から一年後、このベンチはどのような姿になっていると思われますか。
木材は時と共に味わいが出てくるので、樹齢の100倍、もしくはそれ以上の使用に耐えると思います。
投稿/キャサリン・ウォーマン
翻訳/ハートフル・ジャパン 鳴海 亨
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