

アルミ被覆構造の階段はそのてっぺんでひと巻きして下降し、二重螺旋を形成することで訪問者が上る途中で下りる人とすれ違うようになっている。

リリ・ホライン氏によって投稿された情報は以下の通り。
その上では全ての梢が静寂にある
一般的に結果に焦点を当てる社会では緩やかな出現および目的地への過程と道中に経験するであろう発見の感覚を失いつつあります。すでに2500年前、孔子は書きました:「旅とは報いである」と。或る者は方向感覚の喪失を回避する良い方法だと思うかもしれませんが、急いで進むことはそんなに価値のあることでしょうか?
建築は人間性の状態を表現したり、提案したり、刺激する素晴らしい手段です。最近完成した建築家のクラウス・K・ローンハルト氏とクリストフ・マイヤー氏によるムール塔のコンセプトは、塔の頂上に達しするという意気揚々とした気持ちだけでなくそこへ到達する間の段階における楽しみを含んでいます。
スチールとアルミでできた意図的で異質なオブジェクトは南スティリアの河岸森林からそびえ立っています:とは言え、幾何学的な観測塔は調和的な対位法として自然に風景に溶けこんでいます。

スロベニアの国境はバッド・ラドカースブルグ近くの南スティリアのこの地域にあるムール川で定められています。前「鉄のカーテン」に沿ってかつて一般立ち入り禁止セキュリティゾーンだったところは事実上自然保護地区となっており、現在はヨーロッパ・グリーン・ベルトの一部です。今日、向こう岸の土手の眺望は穏やかなもので、両国は川の水路と牧草地であるランドスケープを再緑化するよう力を合わせています。
ドイツ自然および生物多様性保護連合(German Nature and Biodiversity Conservation Union)の協力によって、塔は当初、ヨーロッパ・グリーン・ベルトを示すためだけに計画されました。実際はしかしながら、建築的彫刻、そしてランドスケープの全景を提供する展望台となりました。
168段の階段を上りながら自分自身の路を辿り、異なる高さから眺める風景と2つの絡み合う階段が空に向かって舞い上がっていることから必然的に出会う視線によって引き寄せられます。この重要な視覚的よりどころの最も高い27mの位置では、最終的に路が決して終らないことに気づきます。上昇と下降の重複と立体的な混ざり合いが向かい合っているお互いを生み出します。

上りと下りの相反する方向の二重螺旋階段の前身となる有名な構造物が近くにあります。それは1499年以来ハプスブルグのフリードリッヒ3世の革新的な実験に対する熱意とグラッツにある彼の城の素晴らしい建築デザインの証拠として存在しています。それがもたらす特別な立体的経験によってその城は建築家たちにとっての巡礼地となっています。その中にはグラッツ工科大学の建築及びランドスケープ科の学長であるクラウス・ローンハート氏もいました。感銘そしてインスピレーションを受け、彼と彼の同僚であるクリストフ・マイヤーはこの歴史的所在の詩情を自然界に変換することを試みました。
観測塔の支持構造は樹木のように設計されました。低部は幹の役割をしており、薄く加工された管でできた鉄骨部は上部に向かってさらに繊細な枝を表現しています。この塔は当然フランクフルトにあるオフィス・フォー・ストラクチュラル・デザイン(the Office for Structural Design)にとって技術への挑戦でした。この驚くほど巨大でマルチに強化されたように見える構造体が階段を上っていると、柔らかく揺れていると感じるのは非常に驚くべきことです。見下ろすと、まず構造体の上品な節点に気づきます。塔の立体性を醸し出す洗練された巧みなデザイン幾何学の結果として、鉄骨大梁のジョイントが生まれました。
その日の気候や時間帯によってアルミに包まれた階段の手すりの素晴らしい煌めきがこの構造体の外観を変容させます。半透明性を損なうことなく、面取りされたアルミ板は本体および表面の動きを作り出します。凹んだ河床と積もった浮荷の流れるエレメントが同様の柔軟さと精密さで地勢から出現する塔に映し出されます。

ヨーロッパ・グリーン・ベルトのビオトープの組成システムに属する昔の風景の残る田舎に建つこのプロジェクトによって、 terrain:loenhart&mayr は2つの異なる方法で自然が脚光を浴びるような手本を示しました。まず訪問者が連続する螺旋階段を上ったり下りたりするうちに回転する周囲の自然の景色を楽しむことができます。彼らは内側および外側に向かって注意を向けるでしょう。離れると塔の輪郭は自然と融合しているように見えますが、階段を上る人のための足下は感覚的な内なる空間できちんと注意が払われます。
次に彫刻的なこの構造体自身が、DNA成分が平行な回転で配列する二重螺旋構造である自然界の本質を探求しています。顕微鏡で見なくても有機的な形態がしばしばカーブと縁、幾何学と自由、そして無限の拡大を印象的に構成していることがわかります。
ゲーテが書いたように山にこそ登りはしませんが、ゴスドルフ近くのムール川の土手に沿って生息する素晴らしい川岸の森林の梢は、この塔を完全に上る人の目の前に現れます。それでいて上界は完全に静寂の中にあります。ここは自転車で訪れた者、早朝のジョギングをする者、または日曜日の散歩で訪れた者などの休憩の場なのです。また旅行者と同様に特に自転車利用の地元住民によってあっという間に占領されるような場所でもあります。このプロジェクトと共に公共性を識別される理由の一つは周囲のコミュニティメンバーが寄付によって参加することができたからです。今、彼らはこの塔を旧友に会うかのように訪れ、誇らしくプレートに記された自身の名前を読み、四季を通して移り変わる周囲の自然の雰囲気の中で何度も何度も同じ場所を訪れるのです。同時に彼らは terrain:loenhart&mayr も関わっているこのユニークな牧草地帯の再緑化の進行状況と努力を確認しているのです。スティリアはここにそのランドマークを見つけました。グラッツには時計塔がありますが、ゴスドルフにはムール塔があります。この現代的な貢献は建築コンペで優勝した作品です。

施主:ゴスドルフ地域および都市基盤整備自治体
観測塔及びエクステリアの設計及び計画:errain:loenhart&mayr アーキテクツ&ランドスケープ・アーキテクツ、ミュンヘン/グラッツ
構造計画:OSD - オフィス・フォー・ストラクチュラル・デザイン、フランクフルト
工期:2009年3〜9月
オープン:2010年3月20日
See also:
.
![]() |
![]() |
![]() |
| ArcelorMittal Orbit by Anish Kapoor |
Viewing Tower by Ateliereen Architecten |
Bridge by WXY Architecture |




コメントする