
写真最上段:Florian Berger
写真上:Studio Aisslinger
全面にガラスが組み込まれたFincubeと呼ばれるこの住宅は、ドロミテ=アルプスが一望でき、外側は地元産の材木を使った鎧窓で覆われている。

わずか2平方メートルの敷地内に土台が収まるこの住宅は、解体や組み立てが容易で、簡単に移動できるよう設計されている。

写真は断りのない限りSteffen Joenicke氏の撮影による。

デザイナーからの説明は以下の通りである。
FINCUBE:「仮の宿」の未来像
自然と一体化したハイテクこそが、まさに自然環境とエネルギー消費に配慮した、新しい組み立て式ポータブル・ハウスのコンセプトです。Werner Aisslinger氏がデザインし、南チロル地方のプロジェクト・チームによって建築された住宅「FINCUBE」は、イタリア北部の都市ボーッエン近郊の、有名なドロミテ=アルプスを間近に望む標高1200メートル地点に建設されました。この遊牧生活を思わせる自然の中の隠れ家は、先頃より実験的にボーッエンよりも標高の高いリッテンで展示されています。

環境に優しい遊牧生活の住宅
地元産の材木だけを使用した最大居住面積47平方メートルの住宅は、二酸化炭素排出量を最小限に抑え、地元の業者や職人がチロル工芸品のきめ細やかな技を生かして製造した古くからその土地に伝わるリサイクル可能な資材を使っています。「FINCUBE」はこのような意味において、 長寿命を誇る次世代の一戸建て住宅と言えます。

この住宅はどこの場所でも簡単に解体や組み立てができ、自然の隠れ家として重要な「必要最小限の敷地」はわずか2平方メートルで、「FINCUBE」が移動した後の土地は容易に再生できます。

半永久的なデザイン
必要最小限に抑えたデザインは、建材の特色を重視し自然との調和を求めたものになっています。日よけを兼ねた窓の外側の格子によって、三重のガラス窓で覆われた空間はユニークなキノコ状の独立した建築になっています。

格子の水平な桟によってFINCUBEの中はプライバシーが保たれ、森林、草原、山腹、さらにリゾート地など、場所を問わず設置することが出来ます。半永久的で敷地を選ばないデザインによって、「FINCUBE 」は適応性に富んだ住宅であると同時に隠れ家であり、そして終生の友となります。

イメージ上:Studio Aisslinger
宿泊施設としての展望
南チロルのホテル経営者であるJosef Innherhofer氏と共同で、「Fincube」を将来宿泊施設として利用する計画がまとまりました。すなわち、風景を損なうことなく必要最小限の土地を利用して、世界で最も美しい地方の中心に暫定的にFINCUBEの村を建設するという構想です。通常の建築物と異なり、改築や増築、さらに縮小や撤去が簡単なこの建物は、撤去後の土地を修復することが容易だからです。これらの特徴は、柔軟性と効率が要求される将来の観光産業への解決策となるのです。

イメージ上:Studio Aisslinger
技術と居住性
住宅に求められる全ての機能をタッチパネル一つで操作できる「FINCUBE」は、技術的に優れた住宅と言えます。土台には地元産のカラマツを、室内にはカラマツとカサマツを使用しています。地面から3メートルの高さにある室内はらせん状になっていて、ソファーがある居間と隣り合わせの広くて快適なキッチンから室内に入ることができます。その一角には寝室があり、その奥が広々とした浴室になっています。

イメージ上:Studio Aisslinger
プロジェクト
デザイン: Werner Aisslinger(ベルリン)
内装:Tina Bunyaprasit, Studio Aisslinger .
外装:Studio Aisslinger - Berlin
出資者:Josef Innerhofer(イタリア、ボーッエン)
製材:Markus Lobis(イタリア、リッテン)
内装仕上げ:Matthias Prast(イタリア、リッテン)
投稿/キャサリン・ウォーマン
翻訳/ハートフル・ジャパン 鳴海 亨
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