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坂茂設計の文化施設ポンピドゥー・センター・メス

フランスの新しい文化施設ポンピドゥー・センター・メスの写真を紹介しよう。これは日本の建築家、坂茂氏とフランスの建築家、ジャン・ドゥ・ガスティーヌ氏が設計したもので、5月に一般公開される。

波状のラミネート加工した木造屋根から、高さ77メートルにも及ぶ金属製の尖塔が突き出ている。


建物本体を包み込む半透明の繊維ガラスとテフロン繊維製の天蓋は、建物の外側に最大20メートルまで張り出している。


新しい施設は5,000平方メートルの展示スペースを誇り、周囲には2つの庭園と緩やかな傾斜のテラスがある。


この施設は5月12日公開予定で、パリにあるポンピドゥー・センター(正式名称:ジョルジュ・ポンピドゥー・国立美術文化センター)の分館になる。


ポンピドゥー・センター・メスからの詳細は以下の通り。



フランスの代表的文化施設初の分館ポンピドゥー・センター・メッツがまもなくオープン


施設と文化的意義

 

ポンピドゥー・センター・メスは、パリにあるフランスの代表的文化施設、ポンピドゥー・センター初の分館で、地域の自治体の協力により実現しました。

 

ポンピドゥー・センターの姉妹施設に当たるポンピドゥー・センター・メスは、科学や文化において完全に独立した役割を担います。構想面では、ポンピドゥー・センターの斬新性、寛容性、利便性、さらに学際性を踏襲しつつ、専門性、ネットワーク、さらに国際的評価を施設の基礎に置いています。

 

これらの価値を追求する上で、この新しい施設の意義は、65,000品目に及ぶヨーロッパ最大の近現代芸術作品を収めているポンピドゥー・センターとの特色ある相互関係の可能性を探ることによって確立されます。

 


坂茂氏とジャン・ドゥ・ガスティーヌ氏の設計によるこの建築は、広大なモジュール式の展示スペースを誇り、その壮大な容積は巨大なインスタレーションから高層展示物まで収納することができます。またこの施設には、ライブショーのためのスタジオ、講堂、資料室、受付、店舗、書店、さらにレストランやカフェも設置されます。


ポンピドゥー・センター・メスは、来館者が様々な芸術作品を体験できるユニークな展示場として設計されています。そこは年間を通してイベントが楽しめる、まさに活動の場なのです。坂茂氏とジャン・ドゥ・ガスティーヌ氏のデザインによる類を見ないこの建築は、全てのプロジェクトが来館者を中心に展開する開放感溢れる場所です。さらに、何にもましてこの展示場が優れているのは、世界一流の斬新な現代芸術作品で構成された学際性にあるのです。

学際的なライブショーや上映、講演などが作品展示と並行して行われることは、ポンピドゥー・センターの精神を受け継いだものと言えます。全ての分野の芸術作品と取り込み、展示のテーマを明確にすることで、芸術体験が一層豊かなものになります。

年間を通して行われる個々の展示や主要なイベントは、特定のテーマや芸術分野に焦点を当てます。このような構想が意図するところは、公衆に意外性を与え、様々な芸術分野の思いもよらぬ組み合わせが生み出す新鮮で楽しい芸術体験に来館者を誘い共有してもらうことなのです。

ポンピドゥー・センター・メスは、ポピドゥー・センターやパーフォーマンス集団におけるライブショーの共同制作に参加します。このことによって、振付け師と芸術家や制作者を結ぶ創造の輪に弾みがつくのです。


子供たちや十代の若者は、ポンピドゥー・センター・メスの構想上欠かせない存在です。年間を通して美術館が主宰するワークショップは、子供達や十代の若者に芸術の素晴らしさを教え、一方他の主要なイベントは、若い世代の来館者が創造性を発揮できる機会を提供します。


常時開催されるワークショップは、子供達や若い世代の時代感覚に相応しい企画を提供し、ポンピドゥー・センター・メスのウエブサイトを利用することで、さらに深く体験することができます。

大胆な建築を取り入れたポンピドゥー・センター・メス


「市の中心部や鉄道の駅からポンピドゥー・センター・メスに通じるテラスや庭を通る時、来館者の視界に入るのは、頑丈で軽量な外観の明るく輝いた建物で、その屋根には来館者が雨宿りをしたくなるような安心感があります。我々は周囲の環境と深い感性で結ばれたこの建築を通して、安心感や開放感、文化の多様性を伝えたかったのです。」


ポンピドゥー・センター・メスを設計した坂茂氏とジャン・ドゥ・ガスティーヌ氏


国際コンクールでの受賞を経て、坂茂氏とジャン・ドゥ・ガスティーヌ氏は、2003年12月にポンピドゥー・センター・メスの設計責任者に任命されました。両氏は2000年よりフランスで共に活動をしてきました。2004年にパリに本社がある日本の子会社として、SARL Shigeru Ban Architects Europeを立ち上げました。ポンピドゥー・センター・メスは、2004年La Halle du Toueur、 2005年Pouilly-en-Auxoisでのl'Institut du Canal de Bourgogne、さらに同じく2005年ミュルーズでのソーシャルハウジング(住宅供給プロジェクト)に続く、彼ら自身にとって四番目の共同プロジェクトになります。


発注元はGreater Metzで、メス市(事業主)とポンピドゥー・センター(共同事業主)の協力体制で臨みます。


ポンピドゥー・センター・メスは巨大なモジュール式の構造で、中央の尖塔は地上77メートルにも達し、1977年にオープンしたポンピドゥー・センターを凌ぐ建築になります。間取りを反映した六角形の屋根は、5,000平方メートルの展示スペースを含む10,700平方メートルの建物全体を覆います。広場、屋外レストラン、庭園などのスペースも、作品の展示場として活用できます。


周囲との調和を目指すポンピドゥー・センター・メス


周囲とポンピドゥー・センター・メスは、2つの庭園とテラスに囲まれています。傾斜の緩やかなテラスは、鉄道の駅と歩道で繋がっています。部分的に景観を整備することで、ポンピドゥー・センターの前にあるピアッツァ広場と同じ規模になります。テラスのデザインは、ポンピドゥー・センター・メス北側の庭園を制作したMichelin AssociésのAgence NicolasとPaso Dobleの両氏が手がけました。5エーカーの庭園にはサクランボの花が植えられ、草が生い茂る庭の窪みは屋根やテラスからの水の受け皿になっています。公園の中や周囲には小道が整備され、来館者が散策を楽しめるようになっています。の調和を目指すポンピドゥー・センター・メス


北側とは対照的に、南側はMichelin AssociésのAgence NicolasとPascal Cribier両氏によってデザインされた静かな庭園です。鉱石を敷き詰めた場所は夏の間テラスとして利用でき、周囲はカバの木が深く生い茂っています。


木造の屋根


ポンピドゥー・センター・メス内にある三番目のギャラリーを覆うドーム状の外郭は2008年に完成し、建設はドイツのHolzbau Amann社によって木造の屋根を構築するという新たな段階に入ります。


準備に10カ月を要し、4カ月を掛けて設置したメッシュ状の木造屋根は、100年も昔の技法を用いて、総延長18キロメートルに及ぶ梁を接着剤でラミネートしました。屋根に使用されている材木の95%は、オーストリアもしくはスイス産のトウヒ材で、それ以外の部分には、ブナとカラマツが使用されています。個々の梁は、CNC(コンピューター数値制御)を取り入れた機械によって独特な形に裁断され、ここから生まれる多方向に湾曲した形や開口部を利用することで、最終的な組み立て(節点、ペグ、補強)が可能になります。


著作権のあるソフトウエアーを使用し、理想的な外観を構築しました。坂茂とジャン・ドゥ・ガスティーヌ両氏は、豊富な量とリサイクルの容易さという観点から木材を選びました。ポンピドゥー・センター・メスは、環境面や持続可能な開発基準を満たした建築で、メス市のAmphithéâtre 地区で行われている都市再開発計画と一貫性が保たれています。6本の梁を組み合わせた六角形の屋根は、建築界で画期的な規範となる概念です。

金属製の骨格


2009年2月、ヴォージュ県Eloyesにある鋳造と金属加工を扱うViry社が、六角形の塔(10の節点から成る)の上に金属のリングで出来た円錐形を組み立てました。高さ37メートルのリングによって、この建築の巨大な波状の屋根が支えられています。円錐形の先端部分は、地上77メートルに達する三脚と尖塔が取り付けられています。


繊維の膜

8,000平方メートルに及ぶ繊維製の膜は、日本の太陽工業株式会社によって製造され、ドイツにある子会社のTaiyo Europeによって取り付けられました。建物全体を覆うこの膜は、木造建築を風雨や紫外線から守り、繊維ガラスとテフロン(ポリテトラフルオロエチレン)を素材にしています。場所によって最大20メートル張り出した屋根は、自然の脅威から外壁を守ります。15%の光を通す半透明の膜によって、建物が内側から照らされる夜間には、六角形の屋根がその姿を現します。


建築概要


延べ床面積: 10,700平方メートル
ギャラリー部面積: 5,000平方メートル
スタジオ収容人員: 196人
講堂収容人員: 144人
建物と屋根を構築するための事前調査に関わった技術及びデザインコンサルタント会社:5社
建築に関わった下請け業者: 50社以上
本体構築段階において現場で作業に関わった建設業者:80社
最終工程に関わった人員:200人
使用したクレーンの数:3機(最大腕木67メートルを含む)
使用したくい:405本(直径50cm~1m、深さ11m)
足場総重量:750トン
コンクリート総量:12,000 立法メートル(土台及び建物本体を含む)
補強用支柱:1,500トン
本体工事所要時間:75,000時間
本体用鋼鉄:970トン(外壁及び六角形尖塔)
材木総使用量:650トン
屋根構築用木材:梁(総延長18 km)、木材(16,000本)
ポリテトラフルオロエチレン膜総面積:8,000平方メートル


投稿/ローズ・エサリントン

翻訳/ハートフル・ジャパン 鳴海 亨

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