オランダ・デザイン・ウィーク
オランダのデザイナー、ヤルテ・ファン・アベマが先週、バクテリアを使った印刷の試験プロジェクト「シンボシス」を含む作品で、賞金1万ユーロのオランダ・デザイン・アワードのラドー賞を受賞した。
ファン・アベマは、バクテリアが増えたり死ぬことによって形と色が変わる文字を紙(写真上)とビルボード(写真下)に印刷した。
ラドー賞は時計ブランドのラドーが主宰する賞で、若いオランダ人デザイナーによる革新的で話題性の高い作品に毎年贈られる。
Studio Wieke Somers(スタジオ・ウィーキ・ソマーズ)のメリーゴーランド・コート・ラックや、最優秀コスチューム作品賞受賞者のVij5によるFlexVaasなど、オランダ・デザイン・アワードの全入賞者に関する以前の記事も参照のこと。
以下、ファン・アベマからの情報、彼の経歴とラドー賞について。
Symbiosis(共生)
印刷媒体は私たちの環境に負荷を与えています。大豆インクや自然由来の絵の具といった解決策は正しい方向を指し示していますが、ヤルテ・ファン・アベマはそれをもっと進化させました。新アプローチへの好奇心と、増殖というものに魅了されたことによって、彼はヴィジュアル・カルチャーにおけるバクテリアの可能性を探ったのです。伝染病を発生させないよう、彼はワーへニング大学マイクロバイオロジー学部での授業を受けています。
それは革命的なアプローチでした。印刷した紙は印刷機から出てきたときに、仕上げの必要がないのです。一定期間のリサーチの元に、彼は注意深く培養したバクテリアをポスターの上でプレスしました。JCDecauxのポスター箱の中で(実際には、巨大なシャーレ)適切な湿度と温度を再現することで、彼は紙を育てたのです。
この新しい方法によって、毎週ポスターを変えることなく、人々の興味をひきつけることができます。時間がたつことでシリンダーに変化が置き、イメージは新しいものに変わります。バクテリアが動き出し、特有の美学に誘発された様相を作り出すのです。
2009年度ラドー・ヤング・デザイナー賞受賞者:ヤルテ・ファン・アベマ
ヤルテ・ファン・アベマは1982年オランダで生まれました。生命科学と和平の街として知られているオランダのワーへニングで育ちました。若きガーデナーとして、彼は自然の不思議さと美しさを学び、成長に必要なモノを発見したのです。2000年に高校を卒業してからはデザイン・アカデミー・アイントホーフェンのマン&コミュニケーションで学び、2006年6月に優等で卒業しました。彼の作品はRene Smeets賞やMelkwegデザイン賞にノミネートされ、その発明でWillie Wortel賞も受賞しています。
2007年に彼は、我々が今生きている世界の本質に即した新たな展望のために、いかにデザイン、科学、テクノロジーを結合するかを探ろうと、ラボ・ファン・アベマを創立しました。見慣れないものに親しんでもらおうとする、彼の絶え間ない研究心は、数多くのコラボレーションにつながり、その作品は国際的に展示され出版されてきました。
ラドー・ヤング・デザイナー賞
優勝:ヤルテ・ファン・アベマ
「徹底的な研究結果に基づく、アートと科学の将来有望な融合。技術的な発明が新しいイメージと形を作り出す」
ラドー・ヤング・デザイナー賞
ここに卒業生たちが、オランダのデザイン賞の中で、若い才能あるデザイナーのために送られるラドー・ヤング・デザイナー賞に応募することを奨励します。
国際的な審査員チームが、特別ラドー賞選定委員会が選んだ全エントリー部門の最終審査3人から、2009年度のラドー・ヤング・デザイナーを決定しました。10月17日(土)、優勝者はオランダで最も権威あるデザイン賞の場で、スポットライトを浴びることになります。
2009年最終選考
3人はそれぞれ異なる分野にありながら、若くて才能に満ち溢れたデザイナーたちです。以下が、DDAの特別賞であるラドー・ヤング・デザイナー賞の最終選考に残った3人のデザイナーの簡単な説明です。
Atelier NL
Nadine Sterk とLonny van Ryswyck は2006年にデザイン・アカデミー・アイントホーフェンを卒業しました。現在二人が主催するAtelier NLは既に、ロイヤル・ティヒラー・マッカムを含む様々なクライアントと仕事をしています。Atelier NLは、リサーチがデザイン・プロセスに欠かせないことを示しています。
ヤルテ・ファン・アベマ
彼の作品は以前も、Rene Smeets や Melkwegデザイン賞にノミネートされています。2007年にはラボ・ファン・アベマを設立しました。彼は作品の中に、他の領域(科学、コンピュータテクノロジー、バイオケミストリー)も取り入れ、彼特有のデザインを誕生させています。彼の作品は国内外で展示されています。
Mattijs van Bergen
Mattijs はファッションとグラフィック・デザインの両者を隔てることなくデザインをしてきました。彼の作品は、内容的にはハイ・ファッションでありながら、一般大衆をも魅了するという、独自で明確な特徴を持っています。アーンヘムにあるArtEZ Institutを卒業後、ロンドンのCentral Saint Martinsで婦人服の修士号を取得しました。彼はViktor & Rolfのスタジオで働き、数々の既製服をデザインし、その名前は世界的な注目をますます浴びるようになっています。
賞
まず最初に、言うまでもないことですが、年間ラドー・ヤング・デザイナーとして選ばれることは名誉なことです。優勝者には1万ユーロがキャッシュで授与されると共に、プレスコンファレンス、デザイン雑誌での記事といったPRとコミュニケーションに関して、ラドー社が全面的にバックアップします。
優勝者はまたオランダ・デザイン・アワーズの祝賀受賞式で、1100人以上の出席者を前に壇上で表彰を受けます。優勝者の作品はブレインポート・グリーンハウスで開催されるオランダ・デザイン・ウィークの期間中、1週間にわたるDDA展示で展示され、DDAのカタログで特別に紹介されます。
審査基準
ラドー選定委員会は以下の基準により審査をします。
独自の構想に基づき、個性的なスタイルと、表現力豊かな造形を持つ作品であること
最長で5年間活動していること(学生ではないこと)
様々な形での表現ができるなど、多様性が認められること
ピアー(同僚)からもその才能が評価されていること
発明家であり、チームプレイヤーでもあること
オランダに住みオランダで創作活動をしていること
投稿者/マーカス・フェアーズ
翻訳者/ハートフル・ジャパン 武田浩美
Dezeen.com オリジナル(英語)はこちら。

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