
コレクションのタイトルは「ファニチャー 2」。2007年10月に同ギャラリーで展示された同シリーズの新作として作られた。(dezeenに掲載された以前の記事はこちら)
写真上/ボディーテーブル 2(2009年)ファイバーグラス
トップ写真/繁殖ランプ(2009年)ファイバーグラス

展示中の作品には、クッションと人間が共に積み重ねられた形のソファー、朽ちてゆく身体を表現したランプのスタンド、泡とグラスファイバーで出来た「化石」と名付けられたグラスファイバーのイスなどがある。

上:ボディーソファー,(2009年)グラスファイバー 室内装飾品
Atelier Van Lieshout ファニチャー2
展示期間:2009年10月9日ー 11月14日
ロシアの"ゆりかごからゆりかご"、"第11回 スイス彫刻展示会のユートピア"、 スイスの都市ビールとロンドンのビクトリア&アルバート博物館で開催中の"物語を伝えて"など、Atelier Van Lieshoutの近年の国際展示会の成功を受けて、カーペンターズ・ワークショップ・ギャラリーは、自信を持ってAtelier Van Lieshout氏の新作「ファニチャー2」を紹介します。この展示会では限定版を展示し、ロッテルダムを拠点とするスタジオから "機能的彫刻" と題されたユニークな作品も展示しています。

写真上/女性(2009年)泡、グラスファイバー
1980年代からのAtelier Van Lieshoutの彫刻は、人体とその機能性がモチーフです。
生とセックス、そして死への賛美をモチーフにする彼らの作品には定評があり、大胆で挑戦的な造形が持ち味です。そんな作品群は、芸術はいかなるアイディアをも具現化出来る能力を持ちうるという信念を表しています。
作品は、デザインと芸術、そして道徳とセンスとの境界線を狂わせるかのようです。人体の素晴らしさへの彼らの関心はこれまでと変わりませんが、今回のコレクションでは、さらに新たな造形に挑んでいます。未完成で複雑な人の身体が、抽象的ではあるがしかし馴染みのある、機能的な彫刻を作り上げています。

写真上/Le Corbafrique(2009年)ファイバーグラス・皮
Atelier Van Lieshoutの新しいコレクションは、カーペンターズ・ワークショップ・ギャラリーの芸術的方向性と一致しています、すなわち機能より形を優先させた、すぐれて彫刻的なデザイン作品を紹介していくというものです。「ファニチャー2」は、まさにこのアプローチの典型です。

身体の形をした彫刻は、身体の数カ所を巧みに動かすだけで、機能的な作品へと変わるのです。これらの作品の背後にはふたつの異なる過程があります。ひとつ目の過程は、ボディーソファーなどを生んだものですが、完成度の高い彫刻を製作した結果として機能性がついてきたというものです。ふたつ目は、実際の人々の印象を使用したものです。「化石シリーズ」や「太ったあの野郎」はその例です。ふたつ目の方法は、ひとつ目の創造的な方法より、よりデザイン的ではないといえるでしょう。

写真上/化石イス(2009年)泡コーティング
この作品は人生への賛美を表しています。Joep氏曰く「私は、日々の生活についての彫刻や絵画を造ります。私は境界とか道徳という概念が好きではありません」

写真上/化石(織り合わされた)(2009年)泡・グラスファイバー・皮膚
この展示会は、人間のライフ・サイクルを表現し、人体の形と機能性を探求したものです。既成概念を翻した見方で、家具の形を捉えています。

写真上/ボディーテーブル 1(2009年)
見所
「繁殖ランプ」は、人間の身体の素晴らしさを表した作品です。他の作品と同じ様にユーモアに満ちたこの作品が喚起するのは、巨大な生殖器が多産を象徴する少数民族の神のイメージであり、またサイズと性的パフォーマンスに関する男性の自信の無さなのです。全体とのバランスとポーズが誇張されて、コミカルに思えるレベルにまで象徴化されています。

写真上/ストレッチ・イス(2009年)グラスファイバー・鉄
観客の目を楽しませる作品「ボディーソファー」は、散らばったクッションとともに積み重なった身体を描写することで、ソファーとしても機能する彫刻を完成させています。その有用性は作品のいわば副産物。ちょっとした混乱をくわえることで、彫刻は家具へと変身するのです。
AVLはアートと生活を溶け合わせ、その融合をアイデアを探求するための道具として用います。ペニスやバギナ、そして胎児のついたPappa Mamma(パッパ・マンマ)ランプにその探求は表れています。このランプは生命の誕生を挑戦的に表現したものとなっています。

写真上/原始的な現代(イス)(2009年)ファイバーグラス・鉄
一見、見る者に不安な感じを与えるのですが、よく考えられた器官の使い方はバランスがよく、その形と物語性のおかげで、この作品はコレクションの中でも影響力のあるものとなっています。
「ホモ・マルタトゥス」は死への探索です。頭蓋骨が光を分散させています。肉体の堕落は、死後の肉体の朽ち果てていく様を描き出しています。道徳と光の神話が効果的な役割を果たしていて、この芸術性がこの彫刻を機能美を持ったものへと押し上げているのです。
「化石シリーズ」には、イスと長イスとソファーがあります。このシリーズは観る人に原始的な造形、半自然的、半人工的なイメージを連想させます。「遊牧民シリーズ」は、有史以前に存在した遊牧民を、その化石化した姿であるかのような様子で、我々の前に現前させます、同時に岩や火山岩のようにも見えるのです。「化石シリーズ」は、観る人に考えさせる彫刻でありながらソファーとしても機能し、人々に安らぎを与える場所としての役割を果たしているのです。
このシリーズは、人々の集まる場所や、本を読んだりピクニックをする場所、または雲が流れていく様子と街の雑踏を聞きながら夢を見る、そんな興味深い場所を提供してくれるのです。
「太ったあの野郎」は、Van Lieshout氏がよく立ち戻る、死と衰えを題材にした作品のひとつです。この作品は、この題材をあからさまで本能的に表現し、大きく開かれて、しみ出して腐っている貝や、空っぽの内部から引き離された人間をよく描いています。それは、死や残酷な死神のイメージを呼び出すかのようです。
ATELIER VAN LIESHOUTは、ロッテルダムを拠点にするデザイン集団です。Joep van Lieshoutにより1995年に設立され、芸術家、デザイナー、そして建築家が芸術作品を共同で制作するための、相互訓練のワークショップとして造られました。彼らの作品は多岐に渡り、彫刻や展示会場全体を扱うインスタレーションから、機能的家具や動く家などもあります。デザインと制作は、Katoenveem-AVL所有のワークショップで行われます。AVLクリエイティブ・チームは、実用的でシンプル、かつ現実的なアート作品を制作し、"デザインの欠如"をコンセプトとした作品を作っています。
AVLでよく用いられるテーマは、自給自足、権力、政治とセックスです。AVLの作品は、世界中の美術館から個人のコレクションにいたるまで、様々なところで見られます。今回の新作は、樹脂や色のついたポリエステルなどの一般的な工業用素材を使用しています。現代社会の根底にある常識やモラルへの疑問を投げかけ、可能性を徹底的に模索することで、AVLは好奇心を刺激する家具をデザインしているのです。


コメントする