フォント
フォント は、本来「同じサイズで、書体デザインの同じ活字の一揃い」を指す言葉だが、現在ではコンピュータ画面に表示したり、紙面に印刷(書籍など)したりするために利用できるようにした書体データを意味している。金属活字の時代から書体の世界に関わっている者からは、データとしてのフォントはデジタルフォント として区別して呼ばれることもある。
コンピュータ用フォント
等幅フォントとプロポーショナルフォント
- 等幅フォント
- プロポーショナルフォント
それぞれの文字の幅が統一されているフォントを等幅フォント、そうでないフォントをプロポーショナルフォントと呼ぶ。一般にプロポーショナルフォントの方が自然で読みやすいとされるが、初期のデジタルフォントでは技術的制約から等幅フォントが多用された。
データ形式による分類
- ビットマップフォント
- ドットの組み合わせで文字を表現したフォントで、コンピュータの初期には、容量の節減および描画速度の確保のためビットマップフォントを利用した。日本語文字においては、当時はフォントを全て記憶するには記憶容量 (RAM) が少なかった上に、かといって逐次必要なフォントをフロッピーディスクドライブから読み出すのも速度的に問題があるので、漢字ROMにビットマップフォントを格納して運用されることが多かった。現在でも、スケーラブルフォントからビットマップフォントを生成するとき、文字が小さいと線間の調整ができずに潰れて読めなくなってしまうことが多いために、小さな文字ではビットマップフォントが使われることもあるが、フォントヒンティングで対応することもある。
- 8ドットサイズの英字、カタカナ文字が利用できるフォント。400ラインのディスプレイの普及や、漢字が扱えるようになり、16ドットサイズのフォントがコンピュータに搭載されるようになった。印刷では、ワープロ(専用機)を中心に一部で24ドット、48ドットなどのフォントも利用され始め、データサイズの増大からスケーラブルフォントへ移行していった。
- スケーラブルフォント
- 線の位置や形、長さなどで文字の形を作るため、拡大縮小しても、ビットマップフォントのように字形に影響がない。そのためスケーラブル、拡縮自由などと冠される。拡縮自由なフォントとしては、ストロークフォントやアウトラインフォントがある。
- ストロークフォント
- 文字の形状を、中心線だけの情報で保持するフォント形式。線の太さなどは扱わないためデータ量は軽く、かつ出力デバイスの解像度に依存しない。CAD システムやプロッタなどで使用される。なお、「ストロークフォント」という言葉は、文字をストロークごとに分解して管理する作成・生成・管理システム(それをフォントプログラムとして実装した例としてはダイナコムのストロークベーステクノロジなど)や、派生した形式(一つの骨格からファミリーを生成する技術など)を指すこともある。アルファブレンドの三次ベジェ曲線で構成され筆順を持つストロークフォントは ASP で利用可能である。
- アウトラインフォント(袋文字)
- 文字の輪郭線の形状を、関数曲線の情報として持つフォント形式。実際に画面や紙に出力する際には、解像度に合わせてビットマップ状に塗り潰すラスタライズが必要になる。
- 日本ではワープロや DTP を中心にアウトラインフォントの利用が普及し、WYSIWYG が普及したために、コンピュータ画面でもスケーラブルラインフォントの利用が広がった。(当初の DTP は、プリントアウトにはアウトラインフォントを使い、画面表示にはビットマップフォントを使用するワークフローが基本だった)
ファイル形式による分類
アウトライン形式
ビットマップの埋め込みができる形式も多い。
- TrueTypeフォント
- Windows、Macintosh 共通で利用できることを想定したフォント。Linux でも利用可能。Mac OS X でも、そのまま Windows 用 TrueType を扱うことができる。2次Bスプライン曲線で字形を制御する。ビットマップフォントを内蔵できる。TrueType フォントをPostScript プリンタで処理するための形式を Type42 という。
- TrueType GX
- PostScriptフォント
- Macintosh で普及し使われるフォントで、三次ベジェ曲線で字形を制御する。
- Type1 フォント
- 1バイト言語用のフォントで、256文字まで格納できる。
- 一般に Type1 と呼ばれていても、実際には Type3 や 5 のものなどがあるので注意が必要。
- Type 1 GX
- OCFフォント
- 2バイト言語用のフォントで、Type1 フォントを多数積み重ねた構造をしている。PostScript のタイプ別でいうと、Type0(Type1 や 3 を組み合わせた形式)に当たる。
- CIDフォント
- OCF フォントを改良し、CID コードとCマップなど、2バイト言語用に簡素化した構造を採用したフォント。異体字切り替え機能を有する。一部仕様が変わった拡張 CID (sfntCID) という規格もあり、モリサワの NewCID フォントはこれに当たる。PostScript のタイプ別でいうと、Type9 に当たるものが多い。(TrueType ベースの CID フォントなどは例外)
- OpenTypeフォント
- Windows、Macintosh での互換性を実現したフォントで、TrueType と Postscript の2つの形式を持つ。CID よりも強力な異体字切り替え機能や、フォントレベルでのダイナミックダウンロード対応(= プリンタフォントが不要)などが特徴。PostScript のタイプ別でいうと、Type2(データサイズを抑えることのできる形式)に当たる。
- METAFONT
- 組版システムの TEX とともにドナルド・クヌースが開発したフォント用のプログラミング言語。Computer Modern のデザインに使われた。
- WIFEフォント
- Windows 上で日本語などの2バイトフォントを扱うための機構の1つである、WIFE (Windows Intelligent Font Environment) の仕様に基づいて作られたフォント。Windows にはラスタライザは付属せず、サードパーティー各社から発売されたラスタライザを入手する必要があった。また、各ラスタライザ間の互換性はなく、それぞれのラスタライザに対応するフォントしか使用できなかった。Windows3.0 時代に普及したが、Windows3.1 で標準装備された TrueType の普及などにより、次第に利用されなくなった。
- 書体倶楽部形式
- EOT (Embedded OpenType) フォント
- OpenType フォントを圧縮したもの。Microsoft がウェブフォントとして採用しており、W3C で仕様が公開されている。
- EOT Lite
- EOTフォントを簡略化したもの。Ascender Corporation が発表。
- WOFF File Format
- Firefox 3.6がウェブフォント形式として対応予定。
- OFF (Open Font Format)
- ISO / IEC 14496-22:2009
- CFF (Compact Font Format)
- ISO/IEC 14496-22:2009
- SFD (Spline Font Database File Format)
- FontForge で使われるフォントの保存形式。全てが ASCII で表現されるためサイズは大きいが、diff を取りやすいなどの理由により開発に使われることが多い。
- SVG フォント
- SVG ではフォントを定義することができ、そのフォントを SVG フォントと呼ぶ。しかしながら、仕様にはシステムフォントへの変換はしてはならないとある。
- ベンダー独自
- 写研の Cフォントやシャープの LC フォント、モリサワの KeiType などのベンダーで閉じた独自形式のものが存在する。
ビットマップ形式
- BDF
- UNIX で標準的に使用されたビットマップフォント用の形式。
- 丸漢フォント
- Macintosh で標準的に使用されたビットマップフォント用の形式。
- SNF (Server Natural Format)
- PCF (Portable Compiled Format)
フォントが持つデータ構造
グリフデータ
- エンコード
- ビットマップや制御点の位置
組版のためのデータ
- 字送り量
- カーニング情報
- 合字情報
代表的なフォントベンダー
和文
- イワタ
- NEC
- 欣喜堂
- 写研(DTP用はリリースしていない)
- ダイナコムウェア
- 大日本スクリーン製造
- トライオクス
- ニィス
- フォントワークス
- モトヤ
- モリサワ
- リコー
- リョービイマジクス
- リムコーポレーション(組込み機器専門)
- アルファブレンド(ストロークフォントASP)
- 精興社(印刷を通してのみ精興社書体が利用できる)
- フロップデザイン
欧文
- アドビシステムズ
- アグファ・モノタイプ
- ITC
- ビットストリーム
- ライノタイプ・ライブラリ
- エミグレ